2010年にノーベル化学賞を受賞された根岸英一先生が6月6日に お亡くなりになりました。 85歳でした。ここに謹んでお悔やみ申し上げます。 公益財団法人総合工学振興財団は、根岸英一先生がノーベル賞を 受賞される前、根岸先生の業績を広く世界の方々に知って いただこうと、数年に渡って支援活動を行いました。 ノーベル賞受賞後根岸先生は当財団を訪問されて、 支援活動に謝意を述べられました。 その後当財団の理事、特別顧問になられ、今日に至っていました。 化学の分野において、2つの異なった分子を結合させることは 基本的な反応ですが、いくつかの特定の分子の組み合わせの場合 にはうまくいきますが、多くの場合なかなか簡単では ありませんでした。 そういう状況において、根岸英一先生はパラジウム触媒を用いた クロスカップリング反応を開発されました。 この新しい概念による方法により、最終的にほとんどの異なった 分子の組み合わせで簡便に結合させることができるようになり、 「化学の分野に革命を起こした」と評価され、ノーベル賞が 授与されました。 ノーベル賞受賞後、根っからの研究者である根岸英一先生は、 さらに新しいテーマにチャレンジされていきました。 非常に難しいとされていて成功例がほとんど無い 「単純オレフィンの不斉反応」にチャレンジされ、 ジルコニウム触媒を用いたカルボアルミ化反応を用いて、 この問題を解決させました。 「2個目のノーベル賞が来るかも」と期待していたところで お亡くなりになったのは大変残念に思います。 ご冥福をお祈りします。 公益財団法人総合工学振興財団理事 高橋 保 |
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