当財団法人では皆んなで育てる科学技術研究を募集し、採択された研究課題の助成金を、広く公募寄附金として募集し、申請者に提供する活動を行っています。
この度、今年度の採択研究で報告しましたように、研究期間3年間で、研究費総額1億円で申請のありました「体外で腎臓を集中治療で再生する「腎臓再生ICU」の研究開発」を皆んなで育てる科学技術研究として採択しましたので、本研究に対して、皆さんから広く公募寄附金を募集いたします。
下記の目論見書に記載しましたように現在、腎臓の病気で34万人とも36万人とも言われる方々が、人工透析を行っていて、苦しんでおられる方々に対して、これを救うことのできる方法の一つとして提案されたもので、価値のある研究開発であると考えています。本研究開発のために、ぜひ、公募寄附金として、寄附をお願いいたします。
公益財団法人総合工学振興財団
公募寄附金
研究テーマ:体外で腎臓を集中治療で再生する「腎臓再生ICU」の研究開発(以下、本研究)
本研究では、最も臓器移植を待つ人が多い腎臓を対象に、体外で集中的に腎臓再生治療を行う「腎臓再生ICU(集中治療室)」を開発し、機能を失った腎臓を体外で再生できる道を切り拓くことを目的としています。体外で再生した腎臓が得られれば、透析から離脱して新たに自分の腎臓で生きる道ができます。
慢性腎臓病(CKD)は今や世界中で数億人が罹患し、有効な治療法はなく、最終的に腎臓移植か人工透析に頼らざるを得ない状況です。腎臓移植には他の誰かの腎臓が必要です。長い順番待ちが必須で、しかも誰かの死や提供を願わねばならないという重い現実があります。人工透析は、体内に水や尿毒素が溜まるたびに繰り返し排出してくれる治療です。しかし、溜まる度に透析を受けねばならないので、患者さんの生活の質(QOL)は大きく制限され、社会的・経済的負担も大きい治療法です。しかも、移植を受けない限り、一生涯、透析生活を続けるしかありません。透析を受けている人は日本に34万人、透析にかかる医療費は年間1.5兆円で日本の国民医療費を圧迫しています。また、日本では、毎年約1,600件の生体腎移植が行われ、やむを得ないとはいえ、健康な人が尊い犠牲になっています。
このように、腎臓移植や人工透析は、医学的、社会的、国際的にも喫緊の課題の一つです。本研究「体外で腎臓を集中治療で再生する「腎臓再生ICU」の研究開発」は、この問題の解決を目指すものです。
(研究の概要)
◎目的: 本研究は、重度腎障害を受けた腎臓を体外で集中治療し再生を促進する“腎臓集中治療室”を開発し、未来の新しい治療法の開拓に貢献することを目的としています。
体外で治療する理由は、腎臓移植が必要なほど悪化した腎臓の再生は未だ方策がありません。そこで体外に取り出して、体内ではできない強力な再生治療を集中的に行う必要があると考えるからです。そのための治療環境を作ろうという発想です。患者さんから隔離されているため、患者さんや他臓器への影響を危惧することなく、今まで使えなかった強力な治療ができます。また、このような治療法は未だ試みられたこともないため、新たな研究開発領域となり、臓器再生の治療技術の大きな進歩が期待できます。
腎臓移植を待っている人は通常透析を受けておられる患者さんです。腎臓を摘出しても生きられます。誰かの臓器を願うより、自分の腎臓を再生させたいという希望にこたえる道づくりになると考えます。
【研究目標】
・1年目:以下4つの目標の実現に向かって研究開発に取り組みます。
1)試作装置と基盤技術の開発:試作装置の完成、
2)腎臓灌流実験:7日間達成、
3)細胞移植実験:基礎実験開始・共同研究の開始
4)腎臓評価法の開発:超音波エコー検査の発展
・2年目・3年目:1年目の成果をベースに、装置のバージョンアップ、2週間の灌流を成功させ、共同研究を通して腎臓再生治療法の芽を発見し、腎臓の再生を確認できることを目指します。
・未来展望:当面は、ブタ腎での実験を進めます。もし、2週間の成功、腎臓再生治療の芽が発見できれば、腎臓移植医との共同研究で、ヒト腎での実験に進みます。もし、必要であれば、もっとヒトの臓器が得やすい海外での研究振興を想定しています。
◎研究手法:
1)腎臓灌流・集中治療装置の開発:体外で腎臓の灌流ができ、酸素や栄養を届けることができ、集中治療ができる装置の開発に取り組みます。体外循環装置(ECMO装置)の仕組みを活用し、集中治療に必要な機能を開発し装備します。
2)体外腎臓再生治療の実験治療:体外で灌流している腎臓に対し、有効と考えられる治療法の治療実験を行います。様々な再生医療技術、様々な機能性材料や薬剤など、腎臓再生の効果を試行し検証します。
3)灌流腎臓の評価技術の開発:体外で灌流している腎臓の循環状態、代謝状態、再生状態、腎臓機能を計測し評価する技術を開発し、より効果的に集中治療が進められる環境を構築していきます。
【研究費の使途】
・設備費、人件費、材料費、実験消耗品、試薬代、旅費、外注費、共同研究費、その他、本研究推進に必要と考えられる費用に使う予定です。
・現在所属する大学の規定に則り、適切な資金管理を実施します。
本研究は3年間での研究助成金の申請金額は1億円で、1年目の公募寄附金の総額は3,910 万円(39,100,000 円)(研究助成金 3400 万円初年度、手数料 510 万円)です。
寄附金が初年度の募集総額に達しない場合は、それまでに集まった金額を初年度の助成金とします。
1年目は2025年7月27日~2026年1月31日とし、2年目は2026年4月~2027年1月31日とし、3年目は2027年4月~2028年1月31日とします。
2年目、3年目は研究の進捗状況に応じてそれぞれの3月末までに、継続申請を提出していただきます。
研究内容の目標や申請金額に変更が生じる可能性があります。申請者は3年間の研究期間が終了した場合でも、他の研究助成金を獲得して本研究を継続して、本研究を成功させたいと考えており、その場合は当財団としてもできるだけ支援を続けていきたいと考えています。
本研究テーマに賛同いただける個人、企業、団体
本財団の目的にご賛同いただき、再生医療・福祉・工学技術分野の発展に貢献したいとお考えの方であれば、どなたでもご寄附いただけます。
本研究は、本財団が 2025年度スタートした「皆んなで育てる科学技術研究助成」に応募された申請で、財団理事会で審査され採択された研究テーマです。
本財団は、幅広く科学・技術・文化の振興に貢献することを目的に設立されました。しかるに、日本の研究力の低下に危機感が漂う昨今ですが、国が科学技術にかける研究費が乏しいという問題もさることながら、どこかで設定された領域の公募ばかりで、その枠にとどまらない発想の研究には研究費が届かない、という現状があります。社会の問題、課題の解決に意義ある研究ならば、政府任せ、企業任せにせず、国民が一緒になって支援していく必要があるのではないでしょうか?
そこで、本財団では、2025年度「皆んなで育てる科学技術研究助成」をスタートいたしました。この助成金は「募集の目的」、「募集総額」、「募集期間」、「募集対象」、「募集理由」、「資金使途」を一般に公開し、公募寄附金を募集し、その寄附金を助成金とするものです。
本研究が目標とする腎臓移植や人工透析の問題の解決は、医学的にも社会的にも、さらに国際的にも喫緊の課題です。そして本研究は従来の医学の枠を超えて、医学、工学、薬学の知見と技術を統合して取り組む内容であり、「皆んなで育てる科学技術研究助成」の趣旨に適う内容であると判断されました。
当財団では本研究活動を積極的に支援するため、公募寄附金を募集いたします。
- 本公募寄附金は、「公益財団法人総合工学振興財団 寄附金等取扱規程」に基づいて実施されます。
- 寄附金の用途および使用報告については、当財団ホームページにて年次報告を行います。
- 返金は原則としてお受けできませんので、あらかじめご了承ください。
◎当財団のホームページに設置された「寄附申込書」よりお手続きください。
法人・団体によるご寄附の場合は、別途、所定の申込書のご提出をお願いすることがあります。
◎ご寄附いただいた方には、お礼状、領収書等をお送りします。(所得控除・税額控除が可能です。)
公益財団法人総合工学振興財団
公募寄附金担当事務局
〒113-0033 東京都文京区本郷二丁目17番5号 ツイン壱岐坂1102号
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